コロナ渦での横浜地方裁判所の不動産競売はどうなってる?
コロナ渦において、
「収入が減って、住宅ローンの返済が滞っている人が増えている」と
メディアでも取り上げていましたが、実際のところどうなのでしょうか。
住宅ローン滞納者は増えているのか、
裁判所の不動産競売情報から考えてみました。
不動産競売物件は増えている?
2020年(令和2年)4月の緊急事態宣言から裁判所の業務も中断して、
競売入札は行われていませんでしたが、
同年8月くらいから競売入札が再開しました。
4ヶ月くらい業務が行われていなかったので、中断していた物件が一気に出てくるのかと思っていましたが、
再開1回目に少し件数が増えたかなぐらいで、競売物件全体が増えている感じはありません。
横浜地方裁判所の令和3年3月入札期間の3点セットの現況調査報告書によると、
令和2年10月に受理され、現地調査をして11月に不動産鑑定士により、
評価額の算定がされています。
競売開始までの期間が結構スピーディーです。
ということは、それ以前の事件(支払滞納物件)は無いということなので、
ローン滞納による競売は少ないということです。
金融機関の方で、コロナ渦での支払い延滞を多少なりとも認めている
(支払い猶予している)というのが、現状なのかもしれません。
気になるのは、売却基準価格(以前は最低売却価格と言っていた)が、
高いことです。
競売市場価格では、一般市場価格の2~3割減が売却基準価格なのですが、
物件によっては売却基準価格で落札しても高い物件が結構あるのです。
競売では、売却基準価格のさらに2割減が買受可能価額(最低入札できる価格)なので、
そこまで入札価格を下げないと、落札して買っても
赤字になる可能性もあるということです。
これでは、任意売却するより競売で落札された方が、
借入額を多く返済できるなんてことも起きるかもしれません。
実際、最高価額落札者の9割が不動産会社です。
投資用のワンルームは個人入札が多いですが
実需マンションや土地戸建は不動産会社の落札率が9割方です。
しかし、最高額落札して再販売しても高すぎて売れずに赤字になるケースもあります。
なぜ、そこまで無理して買うのかというと、
買取再販売会社は買う(仕入れ)のが仕事なので、止めることができないのです。
売り物件が少なく不動産仲介会社から仕入れしづらい今、競売に参入してくる会社も増えてます
しばらくすれば入札業者も減ってくると思いますけど・・
競売市場はそんなに甘くはありません
所詮、無理買いしても利益にはならないので、退散していきます。
まとめ
競売物件が増えるより入札する不動産会社が増えた
※2021年7月9日追記
横浜地方裁判所6月より競売物件が一気に増えました(前月より倍以上になってます)
任意売却の相談は多いけど、任意売却での売り物件は増えてないような気がします。
※2021年11月18日追記
年末にかけて、更に競売物件が増えてます
そして、落札価格が異常に高いです
競売市場による減額の意味がありません。
不動産競売歴18年
競売の読み方は、(けいばい・きょうばい)のどちらも正しいです。
実は、通常の不動産売買業務以外に
裁判所の不動産競売入札を2003年(平成15年)から地味に入札しておりまして
最高価格入札(落札)を数十件経験しております。
2005年頃より、並行して任意売却も取り扱うようになりました。
自社での買取がメインですが
代理入札(一般の方の代わりに入札手続きをすること)も行っています。
競売を始めたキッカケは、民法改正によって短期賃貸借保護制度が廃止になり
それまでの悪法を利用した競売妨害や
占有屋といった立退料を請求してくるような悪人の相手を
しなくて済むことになったからです。
現在は、建物明渡猶予制度が創設され、6か月後には立退かせることができますし
賃借人であれば当然に家賃の徴収もできます。
落札した物件に入居しているのが、元所有者や家族など関係者で
使用貸借なら、基本的には話合いで1か月程度で退去してもらいますし
引っ越し代などの立退き費用も払う必要もありません。
それでも中には大人しく退去しない者も居ますので
その場合には、裁判所に引き渡し命令の手続きを行い
強制執行をすれば荷物もまとめて追い出してくれます。
(別途費用は掛かりますけど)
なので、現在は安心して不動産競売入札ができるようになりました
一般の方も金融機関から借り入れをして
落札することもできるようになりました。
但し、一般的な住宅ローンとは違いますので
万一、落札後に銀行などから借入ができなくて
落札金額を払えないと買受保証金の放棄をしなければなりませんので
細心の注意が必要です。
横浜裁判所の競売と任意売却
競売はそれほど増えていないことはわかりましたが
では任意売却は増えているのでしょうか。
実は、任意売却件数もそれほどは増えていません。
ただ、相談件数は増えています。
先行き不安のなか、予備軍は多いというのが現状です。
住宅ローン滞納が始まり、任意売却に踏み切っても売れなければ競売になります。
住宅ローンという借金を金融機関に返済するという意味では
競売も任意売却も同じですが
残った債務(借金)を返済していくのか
自己破産して借金ゼロにしてしまうのかによって
考え方、行動が変わります。
ローン滞納している方が任意売却するのがベストとは限りません
それぞれの事情や借金整理後の方向性も大事に考えたいと思います。
先ずは、ご相談を。
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