元々は、隣地の住宅売却を依頼されたことがきっかけでした。
となりの建物が見た目も悪く、今にも崩れ落ちそうなので、売却依頼された住宅の販売価格にも影響が出そうなので交渉を開始しました。
50年以上相続手続きしなかったので相続所有者不明
亡くなっていると思われるので、相続人探しから始めました。
売却依頼人に、隣家で生まれ育った人の居場所を昔の年賀状を頼りに連絡を取ってもらいました。
連絡の取れた相続人の1人に、こちらの事情を説明したところ、相続手続きができれば売却しても良い、との了解を得ることができましたが、登記名義人は明治生まれの父親で両親共他界しており、子供は8人兄弟で音信不通で不仲。
亡くなっている兄弟もいるとのことで、法定相続人が相当数になることが予想されました。
こちらの本来の目的は、廃墟のような建物を解体撤去してもらえれば、隣地の住宅売却がスムーズに進めれるとの思いなのですが、建物の所有者が判明しない限り解体交渉も出来ませんし、解体費用を誰が負担するのかも決めなければなりません。
今回、相続人の1人にお会いして分かったのは、市役所より建物維持管理についての通知が届いていることでした。
近隣より多くの苦情が出ていたようです。
全国的に空き家問題が多くなってきているので、2015年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」が施行されましたが、今回の廃墟の状況でも市役所の担当者は、所有者にお願いしている状況。
市役所も相続人については、市外に転居されると追跡もせずに、居所がわからなくなっているようです。
個人情報ですから弊社に居所を教えてくれるわけもありません。
相続人関係図の作成
相続人1名の承諾を得て相続人関係図の作成手続きを行うことになりました。
相続の場合、通常は被相続人の財産目録を作成しますが、今回は他に財産が見当たらないものとし、本件土地建物のみの相続手続きを行う事としました。
先ずは、登記名義人の戸籍謄本から法定相続人全ての戸籍抄本を取得します。
戸籍抄本の取得にも本人の委任状が必要になるので、提携先の司法書士に依頼しました。
現存する方の戸籍抄本を全て揃えて、相続人の関係図を作ります。
司法書士や行政書士に戸籍取得、相続人関係図作成を依頼すると相続人数にもよりますが、数万円~十数万円掛かりますが、必要書類を揃えれば、相続人自身でも作れます。
兄弟8人のうち、亡くなっている方が5名なので、その子(被相続人の孫)を含めると、総勢12名の相続人が居ることがわかりました。
大変そうです・・
相続人との交渉開始
相続人が分かったので、関係図を元に連絡がつく方からお話に伺いました。
1ヶ月で半数の6名の同意は取れたものの、県外居住者や電話連絡先の分らない方には手紙を送り続けました。
最近は固定電話を置かない家庭も多いので、電話連絡も出来ないケースが増えてますし、携帯を変えてしまって携帯番号が変わっているようなこともあります。
不仲であれば、正月やお彼岸に集まることも無いでしょうし、年賀状のやり取りも無いようです。
兄弟であれば連絡先を知らせるなどあるかもしれませんが、親兄弟が不仲であれば、甥や姪が連絡先を知らせてくることはないですよね。
ますます、相続空き家問題が多くなりそうです。
それでも、根気よく手紙を何度も送り続けて、県内在住者には休日に突撃訪問し、不在であれば置手紙を置いておきました。
直接話せていない方もいましたが、最初のアプローチから3ヶ月で全員と連絡がつくことに成功!
廃墟となった親の実家には興味はない様子でしたが、弊社が持分買取を申し出ると喜んでいただけました。
相続費用は誰も出したくない様なので、共有者12名で所有権移転登記すると登記費用が高くなるので、遺産分割協議書を作成して代表者1名で登記することになり、戸籍謄本・抄本取得、相続人関係図作成、遺産分割協議書作成、所有権移転登記、建物解体費まで、すべての費用を立替て買取代金と精算しました。
建物を解体して更地に。
元々、隣地の住宅売却が目的だったのですが、かなり遠回りしての売却となりました。
今回は、うまく行きましたが相続人が増えるほど纏まらないのは確かです。
隣地が空き家の廃墟やゴミ屋敷だと、大変迷惑です。
【不動産表示】
所在:藤沢市
JR東海道線「辻堂」駅徒歩18分
土地面積:87.6㎡
建物面積:28㎡
間取:不詳
構造:木造平屋建て
築年:不詳