「共有持分の放棄」は早い者勝ち?費用や必要書類、登記の手順を横浜の不動産会社が解説

相続などで引き継いだ不動産の共有名義。
「管理が負担だけど、他の共有者に売りたくても同意が得られない…」
そんなとき、一つの解決策として考えられるのが共有持分の放棄です。

インターネットで調べると「早い者勝ち」という言葉が出てくるように、共有持分の放棄は判断のタイミングによって結果が大きく変わるケースも少なくありません。

この記事では、共有持分放棄の基本ルール(民法)から、具体的なやり方、費用、必要書類まで、初めての方にも分かりやすく解説します。

共有持分の放棄とは?「早い者勝ち」と言われる理由

共有持分放棄とは、
「自分が持っている不動産の持分(権利)を手放すこと」を指します。

たとえば、兄とあなたで不動産を2分の1ずつ共有している場合、
あなたが共有持分の放棄をすると、兄が単独所有者になります。

共有持分放棄の仕組み図解

👉 売買や贈与と違い、対価(お金)をもらわずに放棄するのが特徴です。

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共有持分は売却できる?同意・相場・リスクを横浜の不動産会社が解説
※手放すだけでなく「お金に換えたい」とお考えの方はこちらの記事も参考にしてください。

では、なぜ共有持分の放棄が「早い者勝ち」と言われることがあるのでしょうか。
理由は、共有不動産ならではの時間との戦いにあります。

「負の連鎖」を先着順で抜け出せるから

共有状態を放置している間に、他の共有者が亡くなって相続が発生すると、面識のない親族まで権利者に加わり、話し合いは一気に難しくなります。
「これ以上ややこしくなる前に、自分だけでも先に抜けておく」――この判断ができた人ほど、将来のトラブルを避けやすくなります。

他の共有者に主導権を握られる前に動けるから

「誰が固定資産税を払うのか」
「誰が住むのか」
こうした揉め事が深刻化する前に、自分の持分を放棄することで、管理責任そのものから解放されるというメリットがあります。トラブルに深く巻き込まれる前に動いた人ほど、
精神的・金銭的なダメージを最小限に抑えやすいのです。

民法で定められた共有持分放棄のルール

民法で定められた「持分放棄」のルール

共有持分の放棄については、民法第255条に規定があります。

民法第255条(持分の放棄及び共有者の死亡) 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

難しく聞こえますが、簡単に言えば、
あなたが権利を手放したら、その分は残った共有者全員で分け合う
というシンプルなルールです。

ここで知っておきたいポイントが2つあります。

  • 「言葉だけ」では不十分
    たとえ共有持分の放棄が法律で認められていても、不動産の場合は登記を変更しない限り、第三者には主張できません
    登記を放置すると、将来売却しようとした際などに手続きが止まってしまうため、
    「放棄の意思表示」と「登記変更」は必ずセットで考える必要があります。
  • 誰がもらうかは選べない
    特定の誰か一人にだけあげたい場合は「贈与」になります。
    放棄の場合は、残った共有者の持分比率に応じて自動的に割り振られる点に注意が必要です。

共有持分放棄の登記手続き方法

実際に共有持分を放棄して名義を書き換える(登記)には、次のステップが必要です。

まずは以下の図で全体の流れを確認しましょう。

  1. 放棄の意思表示
    他の共有者へ「持分を放棄します」と伝えます。
  2. 登記申請書の作成
    法務局へ提出する書類を用意します。
  3. 共同申請
    ここが重要なポイントです。
    登記手続き自体は、共有持分を放棄する人(義務者)と、持分を取得する他の共有者(権利者)が共同で行う必要があります。
    「相手が書類を書いてくれない」「連絡が取れない」といった場合には、共有持分の売却など、別の方法を検討する必要があります。

【登記申請書の記載例(概要)

  • 登記の原因:
    「令和〇年〇月〇日 持分放棄」と記載します。
  • 登記の目的:
    「◯◯持分全部移転」のように、持分を失う人の氏名を入れて記載します。

手続きの内容は専門的で、書式にも細かい決まりがあるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

手続きにかかる費用と必要書類

手続きにかかる費用と必要書類

共有持分を放棄して登記を変更する際には、「実費」と「専門家への報酬」がかかります。

主な費用の目安

  • 登録免許税
    不動産の固定資産税評価額の 2.0%
    売買よりも税率が高いため、事前に負担額の目安を確認しておきましょう。
  • 司法書士報酬
    5万〜10万円前後が目安です。
    不動産の数や共有者の人数、事案の難易度によって増減します。

主な必要書類

  • 登記済証(または登記識別情報)
    いわゆる「権利証」です。
  • 印鑑証明書
    通常、発行から3か月以内のものを用意します。
  • 固定資産評価証明書
    市区町村役場で取得できます。
  • 本人確認書類
    運転免許証やマイナンバーカードなど

まとめ|放置せず「早めの整理」がトラブルを防ぐ

共有持分の放棄は、売却が難しい物件でも「自分の代で責任を持って整理できる」非常に有効な手段です。
複雑な共有関係から抜け出し、将来の相続トラブルを未然に防ぐことができます。

ただし、一点だけ注意したいのは「税金」の問題です。
共有持分を無償で取得した他の共有者には、贈与税がかかる可能性があります。
良かれと思って放棄したのに、親族に思わぬ税負担を強いてしまい、関係が悪化してしまう……
そんな事態は避けたいものです。
評価額や持分割合によっては非課税枠の範囲に収まるケースもありますので、具体的な税額については税理士など専門家への確認をおすすめします。

「自分の場合は放棄がいいの?それとも売却がいいの?」

横浜の不動産事情を熟知した私たちなら、共有状態やご家族の状況、税金のリスクも踏まえたうえで、あなたにとって現実的で納得感のある選択肢をご提案できます。
一人で抱え込んだまま時間だけが過ぎてしまう前に、まずは現状を整理するところから一緒に始めてみませんか。