
「築古で修繕費がかさむ…」
「空室が増えて、収益が下がってきた…」
「管理が大変で、そろそろやめたい…」
賃貸経営を始めたときは順調でも、長く続けるうちに
「このまま続けて大丈夫?」
と不安になる瞬間が訪れます。
そんなときに重要なのが、出口戦略(やめ方・整理の仕方) です。
今回は、賃貸経営の出口戦略を、FPの視点で整理してご紹介します。
📌賃貸経営をやめたくなる典型的な理由
1.収益性の悪化
- 家賃下落、空室増加、管理費・修繕費の増大
- 築20年を超えると水回りや外壁の大規模修繕が必要になるケースも
2.体力・気力の負担増
- 入居者対応や管理業務が重荷に
- 高齢になって遠方物件を管理するのが難しい
3.相続やライフプランの変化
- 子どもが不動産を引き継ぎたくない
- 相続税対策や老後資金確保のために現金化したい

📊 出口戦略の主な選択肢
賃貸経営をやめる=物件を整理する方法には、いくつかの選択肢があります。
① 売却(現金化)
メリット | デメリット |
まとまった資金が得られる 維持管理や税金の負担から解放される 相続財産を現金化でき、分割しやすくなる | 売却益に譲渡所得税がかかる 築古・駅遠は売れにくく値下げが必要になる場合も |
💡 ポイント
売却前には「手取り額」を必ず計算しましょう。
売却価格 −(仲介手数料・譲渡税・残債)=実際の手残り
この金額がライフプランに適しているかを確認します。
② 建て替え・再投資
メリット | デメリット |
新築にすることで家賃収入の回復が期待できる 相続税評価を抑えられる可能性もある(貸家評価) | 多額の建築費・借入が必要 空室リスクや将来の修繕リスクは再び発生する |
💡 ポイント
建て替えは「もう一度本気で賃貸経営をする覚悟」が必要。
長期ローンの返済計画と老後資金のバランスも要確認です。
③ 更地にして活用・売却
メリット | デメリット |
老朽化リスク・倒壊リスクから解放される 駐車場・太陽光・事業用地としての活用も可能 | 解体費用がかかる(木造30坪で100万~150万円目安) 更地は固定資産税の軽減が外れ、税負担が上がる場合も |
④ 相続・贈与で子どもに引き継ぐ
メリット | デメリット |
賃貸経営を続けたい子どもがいればスムーズ 資産として将来も残せる | 子どもが望まないと「負動産」化 共有名義は管理・売却に全員同意が必要でトラブルの元 |
💡 ポイント
子どもの意向を事前に確認し、可能であれば単独名義で承継させると将来トラブルを防ぎやすいです。

🔍出口戦略を考える前にやるべきこと
1.現状の収支と資産価値を可視化
- 年間家賃収入・固定費・修繕費を整理
- 売却査定を2〜3社に依頼
2.税金・手取り額のシミュレーション
- 譲渡所得税や残債を差し引いた手残りを把握
- 長期保有特例・空き家特例・取得費加算の適用可否も確認
3.家族・相続の意向を確認
- 引き継ぐか、売るか、現金化して分けるか
- 子どもの希望を必ずヒアリング

✅ 「やめる=失敗」ではない
賃貸経営の出口は、タイミングを誤らなければ生活や資産を守る選択となります。
- 築古で修繕費が膨らむ前に売却
- 相続前に整理して分けやすくする
- 老後資金や他の投資に活かす
大切なのは、感情ではなく数字と将来プランで判断することです。
💡 不安な場合は、宅建士・税理士・FPに相談し、複数の出口案を比べてから決断すると安心です。

🔚 まとめ|賃貸経営の出口戦略4選
- 売却して現金化
- 建て替え・再投資
- 更地にして活用・売却
- 相続・贈与で承継
「もうやめたい」と思った時が、出口戦略を考えるチャンスです。
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