
「せっかく物件を持っているのに、なかなか借り手がつかない…」
「家賃を下げないと決まらないと言われたけど、本当にそうなの?」
そんな空室のお悩みを抱えている大家さん、多いのではないでしょうか。
家賃収入がなければ、ローンの返済や固定資産税といった支出だけが重くのしかかります。
空室期間が長引けば、経営全体に大きなダメージを与えることも。
今回は、空室が埋まらないときに、まず見直すべきポイントを、順を追ってご紹介します。
📌 そもそも、空室が発生する原因とは?
空室がなかなか埋まらない背景には、いくつもの要因が複雑に絡み合っています。
「この1つが原因」と特定できるケースは意外と少なく、小さなネックがいくつも積み重なって空室期間が長引いている場合がほとんどです。
代表的な原因を、もう少し詳しく見てみましょう。
■ 立地が不便、アクセスが悪い
最寄駅から徒歩15分以上だったり、バス便のみで通勤・通学がしにくいと、そもそも物件の候補にすら挙がらないことがあります。
また、坂道や街灯の少ないエリアなども、夜道に不安を感じやすく、単身者や女性には敬遠されがちです。

■ 競合物件が多く、差別化が難しい
同じような間取り・築年数の物件が近隣に多数あると、価格競争や設備競争に巻き込まれがちです。
特に、周辺に新築アパートや分譲マンションの賃貸が増えている場合、築年数が経った物件はどうしても見劣りしてしまいます。

■ 家賃が相場より高い
「この立地ならこの家賃で貸せるはず」と思っていても、エリアの賃料相場は日々変動しています。
周辺の成約相場より高い家賃設定になっていないか、最新の相場データをもとに見直すことが重要です。

■ 室内が古く、設備が時代遅れ
内見の際、「昭和っぽい」「使いづらそう」といった印象を与えると、即決にはつながりません。
とくに、以下のような設備は印象を左右します。
- ユニットバス(3点式)
- 和室(特に畳の傷み)
- 洗濯機置き場がベランダ
- エアコンが古く音が大きい
- 照明が蛍光灯で暗い など
古くても最低限の「住みやすさ」を満たしているかが重要です。

■ 写真や募集内容が魅力に欠ける
募集サイトに掲載されている写真が「暗い」「ピンボケ」「生活感がある」など、第一印象が悪ければスルーされがち。
また、間取り図が見にくい・情報が不足している・PRコメントが一言だけ…といった募集内容の薄さも、集客力に大きく影響します。

■ 管理会社の動きが鈍い
- 募集サイトへの反映が遅い
- 写真撮影をしていない
- 客付け業者への情報展開が弱い
- 空室情報がポータルサイトに載っていない
こうした「機会損失」が、知らぬ間に空室期間を長引かせているケースも。管理されていない感は、借り手に伝わってしまいます。

📝 見直すべき5つのポイント
① 募集条件(家賃・礼金・契約条件)は相場と合っているか?
まず最初に見直したいのは、「家賃が高すぎないか」という点。
SUUMO・アットホームなどで近隣の同タイプ物件をチェックし、エリアの相場と比べて適正かどうかを確認しましょう。
- 似た築年数・間取り・設備の物件と比較する
- 1〜2階と3階以上では需要や賃料が違うことも
- 敷金礼金が相場より高すぎないか?
🔍 家賃を下げる前に、「条件の見直し(礼金0/フリーレントなど)」で対応できるケースもあります。

② 募集の見せ方はどうなっているか?
物件の魅力が、きちんと伝わっているか? も重要なポイントです。
- 写真は明るく広く、清潔感が伝わるように撮影する
→ 照明をつけ、日中の自然光が入る時間帯にスマホで撮るだけでも印象アップ。 - 家具なしより、小物を配置して暮らしのイメージを演出
→ 生活感よりも「清潔感+温かみ」のある写真が好印象。 - キャッチコピーや説明文は具体的な魅力を伝える
→ 「日当たり良好」より「朝日が入る東向きのリビング」のように言い換える。 - 物件情報は検索されやすいように充実させる
→ 写真・間取り図・周辺環境・エリア名などをしっかり記載する。

③ 設備や内装が時代に合っているか?
古い設備や内装は、借り手にとって「マイナス評価」になりがちです。
- 和室より洋室の方が人気
- 浴室に追い炊き機能があるか
- 独立洗面台は必須かどうか
- ウォシュレットやモニタ付きインターホンがあるか?
🔧 すべてを新しくする必要はありませんが、1つでも「今っぽい設備」があると選ばれやすくなります。

④ 管理会社・仲介会社の動きはどうか?
空室が長引いている場合、募集のサポート体制に改善の余地があるかもしれません。
今一度、管理会社や仲介会社がどのように動いてくれているかを見直してみましょう。
- 空室物件がポータルサイトに掲載されているか?
→ ネット未掲載だと、そもそも借り手に見つけてもらえません。 - 写真やコメントが更新されているか?
→ 季節感のあるコメントや撮り直した写真で印象がアップします。 - 内見対応はスムーズか?
→ 問い合わせに迅速・丁寧に対応してくれる体制か確認を。 - 営業マンが物件をしっかり把握しているか?
→ 熱意ある担当者ほど、紹介の質や反響が違ってきます。
📌 もし「あまり動いてくれていないかも」と感じたら…
- 他の仲介会社にも声をかけてみる
- 「専任媒介」→「一般媒介」への切り替えも検討
複数の会社が並行して動いてくれることで、反響が増えるケースもあります。

⑤ ターゲットが合っているか?物件の魅力が伝わっているか?
たとえば、単身者向け物件なのに「ファミリー歓迎」のような文言が入っていたり、
学生街なのにインターネット無料設備がない…など、
ターゲットと売りのズレが空室につながることもあります。
- 想定している入居者像は明確か?
- その人に響くPRができているか?
- ネット無料/宅配ボックスなど、今のニーズに応えられているか?
🎯 借り手目線で「ここに住みたい」と思えるかを見直しましょう。

🧭 空室対策は「総合力」!
空室が出たからといって、「とりあえず家賃を下げる」のは最終手段です。
まずは、小さな見直しや改善で「選ばれる物件」にしていくことが大切。
家賃を下げても、築年数や設備が古いままだと、根本的な改善にはならないことも。
一方で、室内写真を変えただけで問い合わせが増えたというケースもあります。
まとめ
空室が心配なとき、まず見直すべきは以下の5点です。
- 募集条件の見直し(家賃・礼金・契約条件)
- 物件の見せ方(写真・コメント・掲載状況)
- 設備・内装(今のニーズに合っているか)
- 管理・仲介会社の動き(営業状況・対応力)
- ターゲットと訴求のずれ(誰に向けての物件か)
空室対策に「これだけやれば正解」という正解はありません。
だからこそ、冷静に現状を分析し、小さな改善を積み重ねることが何よりの近道です。
📚 次回は、第6回「子どもに不動産を残したい…その前に考えておきたいこと」
相続前にしておくべき整理や、残された家族が困らないためのポイントをわかりやすくご紹介します。

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