
「賃貸経営って、儲かるかどうかはやってみないとわからない?」
そんな声をよく耳にしますが、実は“やってみる前”にある程度の収支は予測できます。 その鍵となるのが、収支シミュレーションです。
今回は、賃貸経営を始める前に行っておきたい収支の見える化の方法と、チェックすべきポイントをやさしく・具体的に解説します。
💡 賃貸経営の収支シミュレーションとは?
「どれくらい儲かるのか?」だけではなく、 「どれくらいの支出があるか?」「どんなときに赤字になるか?」 といった経営リスクまで見えるようにする作業です。
特に不動産賃貸は、見えないコスト(空室・修繕・管理手数料など)が多いため、 あらかじめシミュレーションしておくことで“失敗を避ける”ことができます。
📊 基本の収支モデル(1年間:家賃8万円の場合)
項目 | 金額(例) |
家賃収入 | 96万円(8万円×12カ月) |
管理費・修繕積立金 | ▲18万円 |
固定資産税・都市計画税 | ▲10万円 |
修繕・原状回復費 | ▲10万円(平均的に見積もり) |
管理委託料 | ▲5万円 |
空室損失(1か月空室) | ▲8万円 |
ローン返済 | ▲30万円 |
年間の手残り(概算) | 約15万円 |
📌 実際には「赤字にならなければOK」ではなく、 ローン返済後にどれだけ資金が残るかが重要なポイントです。
✅ チェックしたい3つの視点(もう一歩深く)
1.空室率の見積もりが現実的か?
- 地域によっては平均空室率が20%以上のエリアも。
- 1年間のうち1〜2カ月空室になる前提で収入を見積もるのが安心。
2.設備更新費が抜けていないか?
- 給湯器・エアコン・トイレなどは10~15年で交換が必要。
- 1回あたり10万〜30万円の費用がかかることも。
- 毎年少しずつ「修繕引当金」として計上しておくと◎。
3.借入条件の金利・返済期間は適切か?
- 月々の返済額が収入の半分以上になると資金繰りが苦しくなる。
- 元利均等返済/元金均等返済で将来の手残りも変わる。
📝 シミュレーションの作り方(初心者向けステップ)
- 家賃収入の見積もり
- 近隣の相場を調査。高すぎず、かといって安売りしすぎず。
- 空室率を1〜2カ月で見積もる。
- 支出の洗い出し
- 固定資産税・火災保険・修繕積立・共用部電気代など、抜けやすい項目に注意。
- 管理費や委託料の計上
- 管理会社に委託する場合、家賃の5〜8%が目安。
- ローン返済の算出
- 金利・期間・元利均等 or 元金均等で返済額が変わる。
- 手残りとキャッシュフローの確認
- 数年単位でプラスが出るかどうかを試算する。
まとめ
「儲かるかどうか」は感覚ではなく数字で検証。
賃貸経営は、事業の側面もある以上、 経費・収入・リスクを数値で管理することが成功の第一歩です。
次回は、「アパート建てませんか?」という提案にどう向き合うべきか、冷静に考えてみます。
📚 連載記事一覧はこちら! \ 不動産賃貸の始め方がわかる!10の基礎テーマをFPが解説 / 第1回|賃貸経営って本当に儲かるの? 第2回|賃貸経営の収支シミュレーションってどうやるの?(この記事) 第3回|「アパート建てませんか?」に返事する前に 第4回|確定申告、青色と白色って何が違うの? 第5回|空室が心配…まず何から見直す? 第6回|「子どもに不動産を残したい」その前に 第7回|法人化した方が得?個人との違いをざっくり解説 第8回|サブリース契約って実際どうなの? 第9回|相続した実家、貸す?売る?どう決める? 第10回|FP目線で見る!「もうやめたい」賃貸経営の出口戦略 |

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