法定相続で共有持分を取得する場合、通常、遺産分割協議によって財産が分与されます。
しかし、特定の状況下では、遺産分割協議が行われず、実家のような不動産だけが法定相続によって分配されることが多いです。
この場合、相続人は不動産を共同で所有することになり、それぞれが不動産の一部分を持つことになります。
相続した共有持分どうしたらいいの
相続した不動産が実家の空き家だけで、兄弟で相続したけど売りもせず、貸しもせずに空き家にしてほったらかし、という家が意外とあります。
固定資産税も掛かるし、どうにかしたいけど兄弟などの話合いが進まないとか、共有者との仲が悪い、連絡先が分からないなどと理由はいろいろですが、放置された空き家問題が片付かない家が多いです。
地域の町内会などにも迷惑が掛かっているケースもあります。
長く伸びた樹木の枝や葉が、電線に引っかかって危険なこともあり、町内会の有志がボランティアで伐採していたり、不審者が使用しないか監視しておかないとならなかったりと、空家にしている本人は気が付いてませんけど、結構迷惑してます。
「共有持分だから売ることもできないし…」と思っている方、案外多いかもしれませんが、その共有持分売れますよ!
すべての不動産会社が扱っているわけではありませんが、解決に至らない他の共有者のために固定資産税をいつまでも払っているより、手放して気が楽になる方法があります。
共有物分割請求
前回までのあらすじ:
相続した空き家を放置しておくと固定資産税が6倍に!?特定空き家の問題点!
相続した財産が実家のみであり、土地も何百坪もあるわけではないので、実家を物理的に分割することは不可能です。
この状況では、共有者間での売買を通じて一人が単独で所有するか、あるいは家を売却して現金化するか、のどちらかを選ぶ必要があります。
前回相談されたお客様の実家は、「特定空家」にも指定されたので、固定資産税が今までの6倍になり負担が多く、固定資産税を滞納しているので、個人財産の差押えまでになってしまってました。
区役所では、共有物件の固定資産税について、共有者の中の任意の人に対して請求することが可能です。
そのため、請求を受けた人が代わりに税金を支払う義務が生じます。
しかし、このシステムでは、請求された共有者が、自分だけが税金を支払っていると感じ、不公平と捉えることがあります。
その結果、支払いを拒否することもあり、それが差押えや最終的には競売や公売につながるケースも発生します。
このような状況を解決するためには、まず相続人関係図を作成して、法定相続人に漏れがないか確認します。
相続人関係図を作成すると、それぞれの相続人の現在の住所地が判明するので、この情報をもとに、全相続人に連絡を取り、関係修復や共有持分売却の話しを持っていきます。
今回のケースでは、法定相続人は合計6名おり、そのうち相談者を含む4名は協力してくれることになりました。
しかし、これらの相続人には持分を買い取る資金がありませんでしたので、弊社で代位してその分を買取りました。
残念ながら、残りの2名の相続人は、話し合いにも応じてもらえなかったので、共有物分割請求の法的手続きを行い、これらの相続人に対して提訴しました。
訴訟において、相手方に反論の余地がなかったため、裁判は約4ヶ月で終了しました。
結果として、訴訟に協力した他の共有者には、共有物の価値の3分の1程度に相当する代金を支払うことになりました。
但し、この問題で発生した弁護士費用はこちらが負担しました。
さらに、ジャングルのように荒れ放題だった樹木で覆われていた古家を解体して、危険な擁壁も新たに築造し直しました。
この結果、相談者だけでなく、地域の町内会や隣地の住民の方にも喜んでもらえたので、ホントに良かったです。
【解体前】
【解体後】