横浜で親族の家を売るときに知っておきたいこと―-みなし贈与・住宅ローン・契約-―

「親が家を売ると言い出した」「実家を子どもが買い取ることになりそう」
最近、こうした 親族間の不動産売却・売買 に関するご相談が増えています。

一見すると、家族同士の話し合いで簡単に進みそうな不動産取引ですが、実は親族間の売買は 税金・ローン・契約のすべてにおいて、通常の取引以上に注意が必要です。

「家族だから大丈夫」と感情で進めてしまうと、後から みなし贈与による課税住宅ローンが通らない、さらには 兄弟間トラブル に発展するケースも少なくありません。

この記事では、不動産の実務経験をもとに、親族の家を売却・売買する前に必ず知っておくべきポイントを、専門知識がない方にもわかりやすく解説します。

結論|親族の家を売却するなら「市場価格+正式な契約」が最優先

まず結論からお伝えします。

親族間で不動産を売却・売買する場合、必ず「市場価格に基づいた金額設定」と「正式な契約書」を用意することが大前提です。

ポイント意味・理由
市場価格で売買するみなし贈与と判断されるリスクを防ぐため
契約書を作成する後のトラブルを防ぎ、家族関係を守るため

親子や兄弟など、どれほど近い関係であっても、税務署や金融機関は 「家族だから」という理由で配慮してくれることはありません

法的・金銭的な裏付けを整えることが、結果的に 家族の信頼関係を守る一番の近道になります。

なぜ親族間不動産売買は特別扱いされるのか

親族間の不動産売買は、第三者同士の取引よりも税務署や金融機関のチェックが厳しくなる傾向があります。

その理由は単純で、形式上は「売買」でも、実態は「贈与」に近くなりやすいからです。

例えば、市場価格3,000万円の家を親から子へ1,000万円で売却した場合、差額の2,000万円は 贈与とみなされる可能性があります。

こうした「名目だけの売買」を防ぐため、親族間取引は慎重に確認されるのです。

ワンポイント
親族間売買では、査定書・契約書・銀行振込の記録
この3点を必ず残しておきましょう。
取引の正当性を示す重要な証拠になります。

親族間でも住宅ローンは組める?審査の現実

「親の家を買い取るために住宅ローンを組みたい」という相談も多く寄せられます。

結論として、親族間売買でも住宅ローンは可能ですが、通常の売買より審査は厳しくなります

金融機関は次の点を重視します。

  • 売買価格が市場価格とかけ離れていないか
  • 贈与や資金援助が隠れていないか
  • 取引が独立した意思に基づいているか

💡 審査を通しやすくするポイント

  • 不動産会社の査定書を提出する
  • 仲介業者や司法書士を関与させる
  • 金融機関へ事前相談を行う

形式を整えることで、
親族間でも住宅ローンが通る可能性は十分あります。

みなし贈与とは?税金トラブルを防ぐ基礎知識

親族間取引で特に注意したいのが みなし贈与 です。

みなし贈与とは、実際には贈与のつもりがなくても、税務上「贈与があった」と判断されてしまうことを指します。
親族間で不動産を時価より大幅に安く売買した場合、その差額分が贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。

時価より著しく安い価格で売買すると、その差額が贈与と判断され、贈与税が課される可能性があります。

【例】

売買価格市場価格贈与とみなされる金額
1,000万円3,000万円2,000万円

この場合、数百万円単位の贈与税が発生することもあります。

みなし贈与とは、実際には贈与のつもりがなくても、税務上「贈与があった」と判断されてしまうことを指します。 親族間で不動産を時価より大幅に安く売買した場合、その差額分が贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。

回避するためのポイント

  • 複数社の査定を取得し平均値を採用
  • 売買代金は必ず銀行振込
  • 通帳・契約書を保管
  • 必要に応じて税理士へ相談

親族間不動産売買契約書で必ず押さえるポイント

家族同士の取引であっても、不動産売買契約書は必ず作成する必要があります。
「親子だから」「兄弟だから」と口約束で進めてしまうと、後になって 言った・聞いていない という行き違いが起きやすくなります。

特に親族間売買では、売却価格や支払い方法だけでなく、
取引の経緯や条件を第三者が見ても分かる形で残しておくことが重要です。

【契約書で最低限確認しておきたい項目】

  • 売買代金の金額と支払方法(現金・住宅ローンなど)
  • 契約日、引渡し日、残代金支払日
  • 所有権移転登記の手続きと担当者(通常は司法書士)
  • 固定資産税・管理費等の清算方法

これらを明確にしておくことで、後から条件を巡って揉めるリスクを減らすことができます。

また親族間売買では、「古い家だから仕方ない」「家族だから細かいことは言わないだろう」と、建物の状態や修繕の範囲を曖昧にしたまま話が進むケースも見られます。

しかし、引渡し後に雨漏りや設備の不具合が見つかり、後になって兄弟間で問題になることも少なくありません。
親族間であっても、売主がどこまで責任を負うのか(いわゆる契約不適合責任)については、契約書の中であらかじめ整理しておくことが大切です。

契約書は「形式的に用意するもの」ではなく、家族関係を守るための確認書と考えるとよいでしょう。
不安がある場合は、不動産会社や司法書士に内容を確認してもらうことで、安心して取引を進めることができます。

親が「家を売りたい」と言い出したときの正しい対応

親が突然「家を売ろうと思う」と言い出した場合、すぐに売却の話を進めるのは避けましょう。

まず確認すべきは 目的 です。

  • 老後資金の確保
  • 施設入居の準備
  • 管理や維持が難しくなった

目的が分かれば、売却・賃貸・家族が買うなど、選択肢が整理できます。

この段階で専門家に相談しておくと、感情的な対立を防ぎ、後の相続もスムーズになります。

親族間売買で住宅ローンが通った実例

実際に、親族間売買でも住宅ローンが利用できたケースがあります。

項目内容
売主70代の母
買主40代の息子
物件築20年以上の戸建
売買価格約2,400万円台(周辺相場と同程度)
ローンフラット35
契約不動産仲介会社立会い/司法書士による登記

このケースでは、当初は「親族間なので難しいかもしれない」と言われたものの、不動産会社の査定書を提出し、契約・登記まで第三者が関与する形を整えたことで、最終的に住宅ローンの利用が可能となりました。

価格を相場から大きく外さなかったこと、金銭の流れや契約内容を明確にしたことが、金融機関からの信用につながったと考えられます。

親族間不動産売買で起こりやすいトラブルと防止策

親族間売買では、「お金の問題」そのものよりも、説明不足や思い込みのズレからトラブルに発展するケースが多く見られます。

トラブル主な原因防止策
他の兄弟が不満を持つ売却後に初めて話を聞かされる事前に価格や経緯を説明し、できれば書面で共有する
登記が済んでいない「後でやればいい」と先送り司法書士に依頼し、引渡しと同時に登記する
贈与税が課税される相場を意識せず価格を決定複数査定を取得し、専門家に確認する
支払いが滞る家族間だからと契約を曖昧に金融機関を通した支払い方法にする

ポイント
特に多いのは、「他の兄弟には関係ないと思っていた」というケースです。
後から話を聞いた兄弟が感情的になり、売却そのものではなく 「進め方」 が問題になることがあります。親族間売買では、手続き以上に「共有」と「説明」を意識することが、トラブル防止につながります。

横浜で親族間不動産売買を検討する際の注意点

横浜市内はエリアによる価格差が大きく、同じ区内でも立地条件によって評価が大きく変わるのが特徴です。

例えば、

  • 駅からの距離や坂の有無
  • 接道状況(私道か公道か)
  • 周辺の用途地域や建物の密集度

といった要素によって、「感覚的な相場」と「実際の評価額」がズレることも少なくありません。

そのため、親族間売買であっても、全国平均や机上の相場ではなく、近隣の成約事例を基準に判断することが重要です。

横浜では特に、
地域事情を把握している不動産会社や司法書士と連携しながら進めることで、
価格設定や手続きを巡るトラブルを防ぎやすくなります。

「思っていたより評価が低かった」「逆に高すぎた」といったギャップが起きやすいのも、横浜の不動産の特徴です。

まとめ|感情ではなく法的整理が家族の信頼を守る

親族の家を売却・売買する場面では、お金の話と同時に、家族それぞれの立場や気持ちが自然と表に出てきます。

「家族だから大丈夫」
「あとで何とかなるだろう」
そう思って進めた結果、
金額そのものよりも、進め方を巡って関係がぎくしゃくしてしまうケースを、実務ではよく見かけます。

だからこそ、親族間売買では感情論になる前に、法的・金銭的な整理を先にしておくことが大切です。

  • 市場価格を基準にした売買価格を設定する
  • 売買契約書を必ず作成する
  • 金銭の流れを記録が残る形で行う
  • 必要に応じて専門家を上手に活用する

これらは手続きを進めるためだけのものではなく、後になって「ちゃんと説明できる状態」をつくるための準備でもあります。

親族間売買は、進め方次第で不安の種にもなりますが、一つずつ整理していけば、家族全員が納得しやすい形に近づけていくことができます。