相続は、故人を偲び、遺された財産を整理する大切な機会です。
しかし、そこには多くの手続きが伴い、期限を過ぎてしまうと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

相続税の申告納税は10ヶ月以内」というのは比較的知られていますが、それ以外にも知っておくべき重要な期限がいくつか存在します。故人を亡くし、葬儀や四十九日法要などで慌ただしい日々を送る中で、遺品整理や財産目録の作成など、やるべきこと、考えるべきことは山積します。

そんな大変な時期だからこそ、期限のある相続手続きをしっかりと把握しておくことが重要です。

相続開始から3ヶ月以内が期限の手続き

相続が開始したことを知った日から3ヶ月以内という短い期間で判断を迫られるのが、以下の2つの手続きです。

⚖️ 相続放棄 ⚖️

故人の財産も負債も一切相続しないという選択です。もし故人に多額の借金があった場合、相続放棄をすることでその返済義務を免れることができます。

⚖️ 限定承認 ⚖️

故人のプラスの財産の範囲内で負債を清算し、もしプラスの財産が残れば相続するという方法です。借金があるかどうかわからない場合や、財産と負債のどちらが多いか不明な場合に有効な選択肢となります。

これらの手続きは、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。特に、借金があるかもしれないという心当たりがある場合は、早急に弁護士や司法書士に相談し、対応を検討することをおすすめします。3ヶ月を過ぎてしまうと、原則として全ての財産と負債を相続することになってしまうため、注意が必要です。

相続開始から10ヶ月以内が期限の手続き

相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、以下の手続きを完了させる必要があります。

📝 相続税の申告・納税 📝

多くの人が知っている期限ですが、申告だけでなく納税まで完了させる必要があります。
2015年の相続税法改正により、基礎控除額が引き下げられたため、「うちには相続税なんて関係ない」と考えていたご家庭でも、納税義務が発生するケースが増えています。

📌 ポイント 📌
もし、相続税を一度に支払うのが難しい場合は、「延納(分割払い)」や「物納(現金以外の財産で納税)」といった方法もあります。しかし、延納には担保の提供が必要だったり、物納は不動産を更地にするなどの手間がかかり、認められないケースも少なくありません。これらの納税方法を検討する場合は、早めに税理士に相談し、要件を満たしているか確認することが大切です。

📝 準確定申告 📝

故人が個人事業主であったり、年収2,000万円以上の給与所得者であったりして、生前に確定申告の義務があった場合に必要となる手続きです。故人に代わって相続人が確定申告を行うことで、還付金を受け取れる可能性があります。

その他の重要な期限のある手続き

上記の他に、以下のような期限のある手続きも存在します。

👨‍👩‍👧‍👦 遺留分侵害請求 👨‍👩‍👧‍👦

遺言や生前贈与によって、本来受け取れるはずの相続分(遺留分)が侵害された場合に、その侵害された分の金銭を請求する権利です。この請求は、相続の開始と遺留分が侵害されたことを知った日から1年以内に行う必要があります。ただし、相続開始から10年が経過すると、この請求権は時効によって消滅してしまうため、注意が必要です。

👨‍👩‍👧‍👦 生命保険金の受取請求 👨‍👩‍👧‍👦

故人が加入していた生命保険金の請求期限は、一般的に相続開始から3年以内とされています。生命保険金は、原則として遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の計算においては「みなし相続財産」として扱われるため、申告漏れがないように注意しましょう。

まとめ

相続手続きは、故人を偲ぶ大切な時間であると同時に、多くの専門知識と迅速な対応が求められる作業です。特に、空き家になった実家や、複数の親族で共有する不動産など、複雑なケースでは思わぬ落とし穴にはまることも少なくありません。

もし、ご自身での手続きに不安を感じたり、トラブルに発展しそうな予感がある場合は、ぜひ一度、相続の専門家にご相談ください。適切なアドバイスとサポートを得ることで、複雑な相続もスムーズに、そして安心して進めることができます。

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大切なご家族から受け継いだ財産を、未来へと円満につなぐために、私たちがお手伝いさせていただきます。