空き家の家財処分はどこまで必要?補助金・費用相場・注意点をプロが解説

はじめに ― なぜ「家財処分」が空き家売却で問題になるのか

「実家を売りたい」「引き継げない」「遠方で管理できない」
──こうした理由で空き家を手放したい方の多くが悩むのが、家の中に残った“家財道具の処分”です。

特に長期間使われていない空き家には、家具・家電・衣服・生活用品がそのまま残されているケースが非常に多く、
「この荷物、全部捨てないと売れないの?」
「処分するといくらかかるの?」
とご相談いただくことがよくあります。

結論として、家財処分は必ずしも“全部捨てる”必要があるわけではありません
本記事では、横浜市の制度状況を踏まえながら、家財処分の必要性、費用相場、注意点をわかりやすく解説します。

横浜市では家財処分に使える補助金は原則なし

横浜市では家財処分に使える補助金は原則なし

まず知っておきたいのは、横浜市には家財処分(室内の荷物撤去)を対象とした補助金制度が存在しないという点です。(2025年時点)
※ 制度は随時更新されるため、最新の情報は横浜市の公式サイトをご確認ください。

横浜市には、
・空き家の改修等に関する補助(地域活動向け)
・住宅除却(解体)に関する補助
がありますが、いずれも家財の片付け費用(家財撤去)は対象外です。

そのため、
「片付けに補助金が使えるのでは?」
とお考えの方は、ここで一度誤解を解いておくことが重要です。

✏️関連する横浜市の補助金制度については、以下のリンクで詳しく解説しています。👇

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家財処分にかかる費用の目安

家財処分にかかる費用の目安

家財処分の費用は、荷物の量や状態によって大きく変わります。
以下はあくまで目安の相場です。

家財処分の費用相場(目安)

状況費用の目安
荷物少なめ(ワンルーム〜1K)数万円〜10万円前後
荷物多め(2DK〜3LDK)15〜40万円前後
荷物ぎっしり・床が見えない40〜80万円前後
ゴミ屋敷レベル・汚れ・害虫あり80万円〜150万円以上

※あくまで参考で、業者・地域・荷物量により変動します。

費用が変わる主なポイント

  • 荷物の量
  • 大型家具・家電の有無
  • 仕分け(分別)の必要性
  • 階段・狭い通路など搬出の難易度
  • 汚れ・臭い・害虫などの状況
  • 産業廃棄物扱いになる物の有無
  • 特殊清掃の必要性

「思ったより高い…」と感じる方は多いですが、荷物量と作業工程を踏まえると、ある程度の費用がかかることは理解しておく必要があります。

家財を残したまま“そのまま売却”という方法もある

家財を残したまま“そのまま売却”という方法もある

実は、家財をすべて撤去しなくても売却できるケース があります。
これを「残置物あり売却」と呼びます。

▶️ 残置物ありで売却できる代表的なケース

  • 買主がリフォーム業者・投資家で、現状渡しが前提
  • 建物の状態が良く、再生・転売目的で購入される
  • 立地が良く、多少の荷物より不動産価値の方が勝っている
  • 売却スピードを優先したい(片付けの時間をかけたくない)

▶️ 残置物あり売却のメリット

  • 家財処分費用をかけずに済む可能性
  • 遠方の物件でも対応しやすい
  • 売却までの時間を短縮できる
  • 気持ちの整理がつかなくても進めやすい

▶️ 注意点(特に重要!)

  • 契約書に残置物の扱いを明確に記載する必要がある
  • 産業廃棄物が含まれると買主が敬遠する
  • 荷物が多すぎると買い手がつきにくい

残置物あり売却は有効な選択肢ですが、物件の状況や買主の方針によって可否が大きく変わります。
売却を検討している場合は、まず不動産会社へ相談し、
「このままの状態でも売れるか?」 を確認するのが最短ルートです。

家財処分業者に依頼するときのチェックポイント

家財処分業者に依頼するときのチェックポイント

業者に依頼する場合は、トラブルを防ぎ、適正価格で安心して任せるために、以下のポイントを必ず確認しましょう。

1️⃣ 見積もりの内訳が明確か

追加費用が出やすいため、

  • 大型家具・家電
  • 階段作業
  • スタッフ追加
  • 解体作業の有無

などの内訳が明確な業者を選びましょう。「一式いくら」の見積もりは避けるべきです。

見積もりの内訳が明確か

2️⃣遺品整理士・廃棄物処理の許可の有無

無許可業者は不法投棄などのリスクがあるため、

  • 一般廃棄物収集運搬の許可
  • 古物商
  • 遺品整理士資格

などを確認しましょう。

遺品整理士・廃棄物処理の許可があるか

3️⃣ 分別作業を丁寧に行うか

家財処分では、貴重品や重要書類が出てくることもあります。
丁寧な分別・貴重品の返却をしてくれる業者なら安心して任せられます。

 分別作業をしてくれるか

4️⃣ 特殊清掃が必要な場合に対応可能か

悪臭・腐敗・害虫・カビが強い場合、通常の片付けでは不十分なケースもあります。
現地確認の際に、特殊清掃の必要性を判断してもらうことが大切です。

特殊清掃が必要か

5️⃣ 相見積もり(複数見積もり)は必須

家財処分は業者によって金額差が大きく、
同条件で2〜3倍違うことも珍しくありません。
最低2〜3社は比較し、金額・作業内容・追加料金の有無をチェックしましょう。

相見積もり(複数見積もり)は必須

家財処分を始める前にやるべき5つのステップ

家財処分を始める前にやるべき5つのステップ

家財処分には時間も労力もかかります。
失敗しないために、次の順序で進めることをおすすめします。

  1. 家の現状確認(荷物量・状態・搬出経路)
  2. 貴重品・思い出の品の分別
  3. 「処分」か「残置物あり売却」かの比較
  4. 不動産会社へ売却可能性の相談
  5. 必要であれば業者の相見積もり

特に 売却を考えている場合は、片付けより先に「査定」 するのが正解です。
理由は、
・荷物が残っていても売れる可能性がある
・無駄な処分費用をかけずに済む場合がある
ためです。

まとめ:家財処分は“全部捨てる”が正解ではない

空き家の家財処分については、
「荷物を全部捨てないと売れない」
「補助金で安く片付けられる」
と誤解されている方が多いですが、実際には

  • 横浜市では家財処分に使える補助金は原則なし
  • 費用は荷物量・状態により大きく変動
  • 荷物を残したまま売却できるケースもある
  • まずは「売却方針」を決めるのが合理的

というのが実務的な現実です。

空き家の片付けは気力も体力も使います。
迷っている場合は、まずは負担の少ない方法を一緒に検討していきましょう。

家財が残った状態の査定や売却相談も、お気軽にお問い合わせください。