
「親が亡くなって、気づいたら不動産を相続していた。」
「売った方がいいのはわかってる。でも何から手をつければいいのかわからない」
「相続した土地、いらないけど放置してもいいの?」
「兄弟と意見が合わなくて、売却が進まない…」
そんな声が、横浜の不動産現場では年々増えています。
相続した不動産は、早めに動くほど選択肢が広がります。
登記・税金・費用・兄弟間の調整…やることは多いように見えますが、順番を押さえていけば一つひとつ整理していくことができます。
この記事では、売却の流れと、後悔しないために押さえておきたいポイントをまとめています。
相続した土地、いらないと思ったらまず確認すること

結論として、相続した土地を「いらない」と感じても、放置してしまうのはあまりおすすめできません。
理由は、不動産は持っているだけで費用と責任が発生し続けるからです。
固定資産税・都市計画税は毎年かかります。
管理を怠れば草木が繁茂し、近隣からのクレームや行政指導の対象になることもあります。
さらに2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象となる場合があります。
放置した場合に起きること
🔷 固定資産税・都市計画税が毎年発生
🔷 管理不全で近隣トラブル
🔷 相続登記未了で10万円以下の過料
🔷 将来の売却がさらに複雑
「いらない土地だから放っておこう」という判断が、数年後に大きな負担を生む事例を現場で何度も見てきました。
まず登記の状況を確認し、「売却・活用・相続土地国庫帰属制度の利用」のどれが自分に合っているかを整理することが最初の一歩です。

「いらない土地」でも、立地によっては想定以上の価格がつくことがあります。
一度、今の価値を把握してみるだけでも、判断がしやすくなるはずです。
相続した土地の売却|長期譲渡と短期譲渡、税率はこんなに違う
相続した土地を売る前に、「所有期間の数え方」はあらかじめ確認しておきたいポイントです。
税金の計算において、不動産の売却益(譲渡所得)にかかる税率は、所有期間によって大きく異なります。
ここで注意したいのが、相続の場合は被相続人(亡くなった方)の取得日から計算するという点です。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 20.315% |
たとえば、親が30年前に購入した土地を相続した場合、あなたが相続してすぐに売却しても「長期」として扱われます。
これは相続人にとって大きなメリットになるポイントです。
税率の違いをシミュレーション
売却益2,000万円の場合
- 短期(39.63%)→ 約793万円の税金
- 長期(20.315%)→ 約406万円の税金
👉 その差、約387万円の節税効果
期間の確認だけで手取りが大きく変わります。
さらに、相続した不動産には「取得費加算の特例」という制度があります。
相続税を支払っている場合、売却時の税負担を軽減できる可能性があります。
適用条件は、相続開始から3年10か月以内の売却です。
この期限もあわせて意識しておくと安心です。
相続した家の売却|兄弟間でもめないための進め方
兄弟間の相続不動産売却で大切なのは、「感情より先に法的な整理をしておくこと」です。
横浜の現場で相談を受けていると、兄弟トラブルの多くは「話し合いのルールを決めないまま動き出した」ことに原因があります。
誰かが独断で査定を依頼したり、勝手に荷物を整理してしまったり。
一つひとつは小さなことでも、大きな亀裂につながることは珍しくありません。
兄弟間で売却を進める際のステップ
1.相続登記を全員の合意のうえで完了させる
2.「売却する・しない」の意思を全員で確認する
3.売却方法・価格・費用分担のルールを書面で残す
4.窓口となる担当者(代表者)を1人決める
特に注意したいのが、「共有名義のまま売却する場合は全員の同意が必要」という点です。
1人でも反対すれば、原則として売却はできません。
| 状況 | 対応策 |
| 全員が売却に同意している | 通常の仲介売却が可能 |
| 一部の兄弟が反対している | 弁護士を通じた交渉、または調停・裁判 |
| 遠方の兄弟がいる | 委任状で対応できる場合あり |
| 認知症の兄弟がいる | 成年後見制度の利用が必要になる場合あり |
「実家をどうするか」という話し合いは、相続が発生してからでは感情的になりやすいものです。
できれば生前に家族で方針を共有しておくことが、トラブルを防ぐ一番の方法になります。
横浜での実例
兄弟4人で相続した横浜の実家。
「売りたい」「思い出があるから残したい」「賃貸にしてはどうか」と意見が分かれていました。
最終的には、不動産会社を交えた話し合いの場を設け、全員が納得できる形で売却に至りました。
感情を整理するための「第三者の存在」が有効に働いた事例です。
相続不動産の売却にかかる費用|全部でいくらかかる?

相続した不動産を売却する際は、「いくらで売れるか」だけでなく、「最終的にいくら残るのか」を見ておくことが大切です。
一般的に、売却にかかる費用は売却価格の5〜10%程度が目安とされています。
「売ったらすべて手元に残る」と思っていたら、想定外の費用で手取りが減ってしまった…というケースは少なくありません。
売却前におおよそのキャッシュフローを把握しておくと安心です。
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円(税別) | 法定上限 |
| 登記費用(相続登記) | 5〜15万円程度 | 司法書士費用含む |
| 測量費用 | 30〜80万円程度 | 境界確定が必要な場合 |
| 解体費用 | 100〜300万円程度 | 建物がある場合 |
| 譲渡所得税 | 売却益×20.315%(長期) | 特例適用で軽減も |
| 印紙税 | 1〜6万円程度 | 契約書の金額による |
実際の手残りのイメージ
売却価格:3,000万円
仲介手数料:約105万円
登記・測量・解体:約150万円
譲渡所得税(長期):約100万円(取得費・控除後の概算)
👉 手残り概算:約2,645万円
実際の税額は、取得費や特例の適用によって大きく変わります。
概算だけで判断せず、一度、税理士などの専門家に確認しておくと安心です。

相続登記が終わってから売却する|順番を間違えると大変なことに

相続した不動産は、相続登記を先に完了させておくことが前提になります。
というのも、登記名義が被相続人(故人)のままでは、売買契約を進めることができないためです。
どれだけ良い買い手が見つかっても、登記が済んでいなければ手続きを進めることができません。
相続から売却までの正しい順番
1.死亡届・相続放棄の検討(3か月以内)
2.遺産分割協議・遺言書の確認
3.相続登記(2024年4月から義務化・3年以内)
4.不動産の査定・売却活動開始
5.売買契約・引き渡し
6.確定申告(翌年3月15日まで)
特に注意したいのが、遺産分割協議がまとまらないまま売却活動を始めてしまうケースです。
「誰の名義で売るのか」が決まっていなければ、買い手が見つかっても契約に進むことができません。
先に動いてしまうと、かえって時間がかかってしまうこともあります。
| よくある失敗 | 対策 |
| 登記前に売り出してしまう | 登記完了後に売却活動を開始する |
| 遺産分割が未確定のまま動く | 協議書を先にまとめる |
| 相続税の申告を忘れる | 10か月以内の申告を確認する |
| 取得費加算の特例を見逃す | 3年10か月以内の売却で税負担軽減 |
登記・税金・売却はそれぞれ重要ですが、同時に進めるのではなく、順番を意識することが大切です。
流れを押さえておくだけでも、手続きはぐっと進めやすくなります。

相続の手続きは、「何から始めればいいのか分かりにくい」と感じる方が多いものです。
ただ、今の登記状況が分かるだけでも、その後の進め方が見えやすくなります。
まずは現状を整理するところからでも、十分な一歩です。
相続した家を売ったときの税金|知らないと損する3つの特例

相続した家を売却する際は、使える特例を知っているかどうかで、手元に残る金額が大きく変わります。
主に確認しておきたいのは、「3,000万円特別控除」「取得費加算の特例」「空き家特例」の3つです。
税金は少しの違いで数百万円単位の差が出ることもあります。
不動産の専門家であっても、税金については税理士と連携しながら進めるケースが多い分野です。
① 3,000万円特別控除(居住用財産の特例)
相続した家に住んでいた場合、または住まなくなってから3年目の年末までに売却した場合に適用されます。
譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、多くのケースで税金がかからなくなる可能性があります。
適用条件のポイント
🔷 相続した家に自分が住んでいた(または親と同居していた)
🔷 住まなくなってから3年目の12月31日までに売却
🔷 売却相手が親族・内縁関係者でない
② 取得費加算の特例
相続税を支払っている場合、その一部を「取得費」として加算し、売却時の税額を軽減できる制度です。
適用期限は、相続開始から3年10か月以内の売却となります。
③ 空き家特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)
亡くなった方が一人で住んでいた家を相続し、一定の条件を満たして売却した場合、最大3,000万円(条件によっては2,000万円)の特別控除が受けられます。
| 特例名 | 控除額 | 主な条件 |
| 3,000万円特別控除 | 最大3,000万円 | 居住していた・3年以内売却 |
| 取得費加算の特例 | 相続税額の一部 | 3年10か月以内の売却 |
| 空き家特例 | 最大3,000万円 | 被相続人が単独居住・耐震基準など |
これらの特例は、自動的に適用されるものではなく、確定申告での手続きが必要です。
申告をしなければ、適用できる特例も受けられません。
売却前の段階で一度シミュレーションしておくと、手残りのイメージがしやすくなります。
必要に応じて、税理士などの専門家に確認しながら進めると安心です。
よくある質問
-
相続した土地をとにかく早く売りたい場合はどうすればいいですか?
-
「買取」という方法があります。
不動産会社が直接購入するため、仲介での売却より価格は低くなる傾向がありますが、最短で数週間ほどで現金化できるケースもあります。急ぎの場合や、古家・再建築不可物件など、通常の売却が難しいケースでも検討しやすい方法です。
-
相続した不動産に住んでいないのに固定資産税を払い続けています。売却はいつでもできますか?
-
相続登記が完了していれば、原則としていつでも売却活動を始めることができます。
ただし、特例の適用期限(3年10か月など)があるため、「いつ相続したか」は事前に確認しておくと安心です。
タイミングによって手取りが変わることもあるため、早めに検討しておくと判断しやすくなります。
-
兄弟の一人が売却に反対しています。どうしたらいいですか?
-
共有名義の不動産は、原則として全員の同意がなければ売却することができません。
まずは話し合いを重ねることが大切ですが、それでも解決が難しい場合は「共有物分割請求」という方法もあります。
状況によって対応が変わるため、弁護士や不動産の専門家に相談しながら進めると安心です。
まとめ|相続不動産は「順番」と「特例の活用」が成功のカギ

相続した不動産の売却は、やることが多く複雑に見えますが、ポイントを整理するとシンプルです。
この記事のまとめ
🔷 「いらない土地」でも放置はNG。早めに動くほど選択肢が広がる
🔷 所有期間の計算は被相続人の取得日から。長期・短期で税率が大きく変わる
🔷 兄弟間のトラブルは「法的な整理を先に」することで防げる
🔷 売却費用は売却価格の5〜10%が目安
🔷 相続登記→遺産分割→売却の順番を守る
🔷 3000万控除・取得費加算・空き家特例は確認しておきたいポイント
相続の問題は、「時間が経つほど選択肢が少なくなる」と感じる場面が多くあります。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、固定資産税が積み重なり、建物が傷み、兄弟の関係に影響が出てしまうケースも少なくありません。
不動産売却の相談は、「決めてから」ではなく、迷っている段階でも大丈夫です。
迷っているうちであれば、状況に合った方法を選びやすくなります。
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